昔々・・・といっても、40年少々前、ある所に、一人の男の子が住んでいたそうな。
その子は、勉強が大嫌いで、それまで学校の成績は、マラソンの1・2、1・2を繰り返していたそうな。
しかし、ある日を境に、その子は変身したそうな。
小学校6年生になり、新しいクラスになり、女の先生が担任になったそうな。
その先生は、宿題を一切出さない方針で、その子は「ラッキー!」と思ったそうな。
先生 「先生は、宿題を出しません。でも、1つだけルールを決めます。何でもいいから、好きなことをノートに書いてきなさい。自主学習といって、ポイントをつけグラフにして、張り出します。」
生徒 「えー!何でもいいん?」
先生 「何でもいいよ。」
こうして、『自主学習バトル』が勃発したそうな。
しかし、その男の子は、それまでろくに勉強などしたことがなかったので、何でもいいと言われても、困ってしまったそうな。
男の子「何でもいいと言われても・・・。」
母「本当に、何でもいいの?」
男の子「らしいよ。」
母「じゃあ、家族の名前でも書いて持っていったら?」
男の子「え?そんなんダメじゃろ。」
そんな会話の後、他には思いつかなかったので、そうしてみることにしたそうな。
次の日、男の子は、半信半疑でノートを学校に持っていったそうな。
男の子「(恐る恐る)先生、こんなんでもええん?」
先生「お!おもしろいこと、やってきたねぇ!いいよ、いいよ!」
男の子「・・・。」
先生は、預かったノートをみんなに返しながら、
「今日ノートを出してくれた子は、たったの6人。先生、悲しかったなぁ・・・。もっとやって来てくれると思っとったのに・・・。」
すると、みんなは、
「だって、忙しかったんじゃもん。そろばんあったし・・・。」などと、言い訳の嵐…。
そこで先生は、
「このノート見てごらん。家族の名前を書いて来た子がいてね、とってもいいノートだよ。」
すると、みんなは、
「えー!?そんなんでもええん?」と。
男の子は、はずかしくてモジモジしていたら、先生が
「こういうのも勉強。算数や国語だけが勉強じゃないんだよ。」と。
男の子は、「勉強って、なにも算数や国語だけじゃないんだ。何でもいいんだ」と思い、よし、やってみよ!と思ったそうな。
それからというもの、男の子は、家にある物や生き物の名前を片っ端からノートに書いてみたり、あるいは、国語辞典を1ページ目から丸写ししてみたり、友だちの好きな食べ物を聞いてまとめてみたり、また、外来語を思いつくまま書き出してみたり・・・、いろんなノートを創っていったそうな。
そうこうしているうちに、グラフはダントツでクラス1位に!
「勉強って、こんなんでもいいんか。おもしろいなぁ」と、ノートは10冊、20冊・・・となっていったそうな。
でも、だんだんと「こんなんじゃなくて、たまには算数も少しはやってみようかな?」とか思うようになり、大嫌いだった算数や国語にも、手を伸ばしていったそうな。
そして、夏休み前にもらった通知表で、サプライズが!
それまでマラソンだった成績が、まるで別人!一番悪い教科でも「ふつう」の判定が!
そのまま、男の子のヤル気は、なえることなく続き、中学生になる前の小学校最後の成績は、なんと「オール良い」になったそうな。
その勢いのまま、中学校に入った男の子は、当時中四国地方で1番生徒数の多かった学校で、学年1位にまで登りつめたそうな。
その子が、大きくなり思ったのは、算数や国語をイヤイヤ勉強するより、「今日は何をしようかな?」と創造力をきたえる方が、よっぽどタメになったということだそうな。
そして、きっかけを与えて下さった先生に感謝すると同時に、素直に実行した自分を誉めたいそうな。
そして、主体的に頑張ることの大切さ・素晴らしさを、1人でも多くの子供に教えてあげたくて、2000年の12月に、「学習工房」という塾を作ったとさ。
-おしまい-