今日は、よく聞かれる、書写の意義について触れてみます
たとえば
数学(算数)の教科書の例題の解答・解説を書写する意味について考えてみます
1.まず、理解をする前の「模倣期」に最適で、脳の学習メカニズムとして、新しい思考様式や手順を学ぶとき、まず「模倣」から入ります
これは、運動学習(ピアノ・スポーツ)と同じ仕組みで、数学でも有効です
例題の解答を書くことで、脳内では、前頭前野(思考の制御)と運動野+視覚野+海馬(手を動かす・見る・記憶する)が連動します
これにより、考え方の流れや式の構成を、無意識に型として記憶します
つまり
考え方を真似る → パターンとして体に刻む → 自分で応用できる
という流れの第一段階です
2.つぎに、解答プロセスの構造を可視化する効果を考えてみます
書写するとき、自然と「どんな順で何をしているか」に意識が向きます
これは「メタ認知(自分の思考を客観的に見る力)」を育てます
たとえば
文章題の例題を写すときに、まず条件を書いて、次に式を立てて、最後に答えるという構造が見えます
グラフ問題なら、座標を整理 → 関数式を立てる → 交点を求めるという流れを理解できます
つまり
書写は、「答え」ではなく「考え方の順序」を写しているということです
3.ワーキングメモリの負担を軽くし、理解を助ける
小中学生にとって、同時に読む+考える+書くを行うのは難しい行為です
最初から自力で解こうとすると、ワーキングメモリ(作業記憶)がすぐいっぱいになります
そこで、まず書き写すことで、思考力に一時的に余裕を与え、内容に意識を向ける余裕ができるようになります
その結果、なぜこうなるのかという方向へ理解が進むのです
4.反復で神経回路が定着する
繰り返し書くと、同じ考え方を複数回たどることで、神経回路が強化(長期増強)されます
これにより、似た問題を見たときに自然と解法が浮かぶようになります
特に方程式・関数・証明など、思考の手順がパターン化できる単元で効果が高いです
[注意点]
注意点:単なる作業化は避けること
ただの「写経」になってしまうと、理解が浅くなってしまいます
以下の工夫で、思考を伴った書写に変えられます
効果を最大化する書写法
●一行ごとに意味をつぶやきながら書く
(例:「ここでxを消すために両辺を割ってるんだな」)
●色分けや矢印で流れを可視化
●最後に、要するに何をした問題かを一言メモ
以上の考え方で、当塾ではまねぶ行為を、書写からスタートしています